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物件紹介
2022.10.05

SE構法施工物件紹介[住宅 7]

ディライトハウス田島邸

生活の知恵に基づいて空間化された部分が集合し、 できあがった全体像としての住宅が部分的に切り出されて拡散し、 別の新たな全体への種を蒔く。住宅設計の新しい風。

ディライトハウス株式会社は、2013年に住宅のリノベーションを主業務として大阪市平野区で創業した会社である。そして新築事業へ業務を拡張するためにモデルハウスを兼ねた住宅を建てた。建主で同社代表取締役の田島智教さんと夫人で同社の整理収納アドバイザーを務める田島真利子さんにお話をうかがった。

要望を重ねてプランをつくる

玄関ホールからLDKを見る。正面の扉はペットルームへの出入口。左奥のアーチ状の開口部の奥はパントリー。2階へ上がる階段は片持ち。右上部のキャットウォークを通って中2階の読書スペースに至る。

架構図

 

敷地は大阪府富田林市の西方で、丘陵地を開発した古い住宅地の一角にある。片流れの高い屋根が印象的な外観である。 モデルハウスではあるが自邸なので、夫妻の日常生活に対する考え方で満ち溢れている。それがこの住宅の個性になっているので、つぶさに見ていきたい。

玄関脇には小さなシューズクロークを設けた。ただこれは靴の収納より玄関をふたつに分ける意味合いが強い。モデルハウスを兼ねていることもあるが、将来、子どもが独立し世帯をもって帰省した際に、客用玄関が広いほうが好ましいと考えたからだそうだ。玄関の西側が主寝室である。寝具は200mmの小上がりの上にマットレスを敷くという設えである。南側には智教さんの書斎がある。特徴的なのは入口脇の1間半角くらいのスペースで、ここにテーブルを置いて食事をしたりお酒を楽しんだりする。ウッドデッキにも直接出られ、寝室にリビングの要素が採り入れられた。LDKは6,230mm×4,322mm角で、リビング部分は小屋裏をなくし頂部まで抜いているので天井の最高高さ8,500mmと、3層吹抜けに近い高さがある。リビングの西面開口は引き込み可能な竪繁格子つきのサッシュで、全面開放すればウッドデッキをリビングと主寝室でL型に囲んで共有できる。南側にはFL-300mmでペットのための部屋を用意した。現在は犬が2匹いるが、外部から使用可能な収納にも改装可能なスペースである。ペットルーム上部は、2階からキャットウォークを通じてアプローチする中2階の読書スペースである。

玄関の左手には、浴室と洗面脱衣、ランドリークロゼットをまとめて配置している。洗面台をふたつ並べ、その横に浸け置きやペットも洗える深めのシンクを置く。浴室脇に洗濯機と乾燥機を据えて洗濯物は室内干しを原則とした。子どもたちの衣類はすべてランドリークロゼットに収納する。それによって片づけの動線は大幅に減少するし、子ども室も片づく。内法で1,220mm幅の空間に既製品の収納家具と動線を確保している。この寸法は北側に並ぶ諸室との寸法調整で最大限確保したものである。ランドリークロゼットの南側にキッチン、その先にパントリーを配置して、コンパクトな家事動線にまとめている。

 

キッチンからダイニング方向を見る。ダイニングはキッチンカウンターと連続させている。ダイニングテーブルに隣接する壁にニッチを設けてスイッチ類をまとめて配置、マガジンラックや小物置き場も併設することで、卓上の小物整理がしやすくなることを意図している。左の扉の奥が玄関。右奥はランドリークロゼットへつながる。

水回りを見る。シンクの左に洗面台が並び、その先が玄関。右奥はランドリークロゼットで、内法で1,220mm幅の空間に奥行440mmの既製品の収納を並べている。正面は脱衣と浴室。

 

2階には子ども室をふたつと、広めのフリースペースと納戸を配している。フリースペースは第二のリビング的な空間として、奥の納戸は宿泊も可能である。 細部にわたって生活のためのさまざまな工夫がある。一方で夫妻は、子どもたちが独立してからのふたり暮らしを見据えて、1階だけで生活が完結できるようにも設計している。いずれふたりになるけれど、しばしば親族の集う賑やかな家をイメージしている。家の現在と未来を等価に見据えている。

 

2階廊下からリビング吹抜けを見る。右はキャットウォーク。

2階廊下から見る。左にフリースペースとその奥に納戸が見える。 左頁右中:中2階の読書スペース。

中2階の読書スペース。

TikTok(ティックトック)による情報発信

集客のために「Instagram」や「TikTok」による配信を始めたところ、真利子さんが制作したふたつめの動画「#家事ラク動線」が「TikTok」でバズって再生回数100万回、43,000フォロワーを達成した。それからは週に一度、自分たちでまとめ撮りして編集し、毎日1本、時間を見計らってアップするという。 真利子さんは、子育てや家事という日常に整理収納アドバイザーの知見を重ね、1軒の住宅内にある多様だが有限な「部分」を、自在に組み合わせて際限なく動画をつくり出している。これらの「部分」を見続けていると、たとえ訪ねたことのない家であったとしても、徐々に「全体」像が把握され、どんどんと身近な空間に感じられてくるから不思議だ。そして投稿動画に対するリアクションに応えていくことは、情報発信であるとともに情報収集の場にもなっている。生活空間のアイディアを見いだして発信し、そのレスポンスが設計のアイディアにつながっていく。新しい知の収集・共有方法で家をつくる時代がやってきたと感じる。実際にアポイントの90%がSNSとwebサイト経由だという。

 

北側外観。片流れ屋根で最高高さは9,684mm。

1階主寝室。寝具は200mmの小上がりにマットレスを敷いている。正面奥が書斎でリモートワークにも対応。手前のスペースは飲食も想定した寝室内のくつろぎのスペース。左手を掃き出し窓にすることでウッドデッキともつなげて使える。

 

 


ディライトハウス田島邸
基本構想:ディライトハウス株式会社/実施設計:WINNOVATE inc.
施工:ディライトハウス株式会社


写真:杉野圭 文:橋本 純