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事例
2022.03.02

SE構法 施工物件紹介[住宅 2]

札幌O邸

快適なだけでなく安心安全な住空間をいかにつくるか。
多様な居場所をSE構法による架構が支え、検討を重ねたスラブヒーター、コジェネ、
太陽光発電などの設備システムが温熱環境だけでなくライフラインも支える。

「札幌O邸」は、北海道札幌市豊平区に建つ住宅である。今回は、建主のOさん夫妻、設計を担当したシノザキ建築事務所株式会社・代表取締役の篠崎廣和さんにお話をうかがった。

多様な居場所

1階にリビングやダイニングなど家族が集まれる空間と主寝室を、2階に浴室と音楽室、子ども室を配し、スキップフロアも設けることと、景色を楽しむ大きな開口を持つ家を構想し、数社にそれらを要望として伝えてプランニングを依頼した。各社とも要件は満たしていたがOさん夫妻のイメージを超える提案を出してきたのはシノザキ建築事務所だけだった。 北側接道で、奥行3,200mm車2台分のインナーガレージの奥がエントランスである。玄関を上がって右手にクランク状に進むとLDKに至る。西側にFLから360mm下がったリビングがあり、その上部を階段がコの字形に上がっていく。スキップフロアとの取り合いで一段下げたリビングは視線が変わり落ち着きがある。東側はダイニング、その北側にキッチンを配し、その奥に玄関への ショートカットを設けている。 階段の3段目には小さな踊り場を設け、ステージのような場をつくった。さらに上ったところに1,820mm幅の大きな踊り場=スキップフロアがあり、机を造作して3人の子どもたちの勉強スペースとしている。スキップフロアまで含めたこのLDKは、空間的には連続しているが、リビング、階段の3段目、ダイニング、スキップフロアなどいくつかの床レベルが併存し、それぞれが家族のそのときどきの居場所となっている。一室ではあるが複雑に繋がり、複数の中心を持つ空間となっている。そこにさらに大きな開口が集中するため、この空間の架構は在来構法では難しく、SE構法だからこそ可能となった。家族の多様な居場所をSE構法が支えている。

 

架構図:南西から見た図。手前がスキップフロアとリビング部分で、吹抜けの南面の梁は成600mm。床を下げているので大引がない。

設備を見極める

さて、Oさんにはもうひとつ関心のある主題があった。それはこの住宅にどのような設備を入れるかである。当初Oさんは太陽光発電と地中熱ヒートポンプによる冷暖房を検討していた。しかしこの地域は地下水から十分な採熱が難しいことがわかり断念する。代わりに採用したのが北海道ガスが提供する「コレモ」で、ガスエンジンで電気と熱をつくる住宅用コジェネシステムである。この住宅の暖房の主軸は床下に仕込んだスラブヒーターで、断熱材の上に打設した180mm厚のコンクリートスラブにパイピングして加熱し、空気と床を暖めるシステムで、篠崎さんがよく使う手法である。その主熱源としてコレモを使っている。他には2階の開口部回りにパネルヒーターも設置した。 駐車場には凍結防止のための設備であるロードヒーティングも備えているが、それは独創的なものだ。この住宅は第3種換気を採用し、キッチンの北側の小部屋に室内の空気を排気している。この小部屋は断熱してあるが暖房をせず、排気の熱を床下のロードヒーティングにつながる露出配管に伝え熱交換している。つまり生活の排熱でガレージの融雪をするわけである。ゆえにこの住宅は2系統のパイピングシステムを持つことになった。

 

2階からリビングを見下ろす。右上の開口からは遠く藻岩山が望める。ガラスはトリプルガラスを採用。照明器具は段ボールを使った「Scraplights」というアメリカ製のもの。

上:リビングからダイニング方向を見る。階段脇にはペレットストーブを配置し、補助暖房として使う。着火後の燃料(ペレット)供給はモーターで行われる。 下:スキップフロアを見る。造作のデスクはh=700、d=500mm。

 

 

上:北側全景。中央は奥行3,200mmのインナーガレージで、たたきの部分はロードヒーティングシステムを敷設している。2階バルコニーの腰壁の仕上げは札幌軟石の乱貼り。 下:南側外観を見る。太陽光発電パネルは、積雪や強い吹き上げのリスクがある屋根面にではなく庇をつけてそこに設置した。左下の低い窓は床レベルを下げたリビングに対応している。

1階主寝室を見る。奥は右がウォークインクロゼット、左は夫妻の書斎。

 

 


札幌O邸
設計・監理:シノザキ建築事務所株式会社/イノスの家
施工:シノザキ建築事務所株式会社


写真:新澤一平 文:橋本 純