• HOME
  • 事例
  • SE構法 施工物件紹介[住宅 1]
耐震構法SE構法について
導入をお考えの皆様
事例
2022.01.19

SE構法 施工物件紹介[住宅 1]

下石田の家

都市型住宅で、開放性と閉鎖性をいかに両立させるか。
ここでは高床=ピロティで建物の一部を持ち上げ、中庭と連動したヴォイドをつくることで、
立体的な「奥」を生み出し、閉じつつ開かれた空間をつくり出している。

高床という提案

SE構法を用いて「高床」の住宅をつくるという発想は、2014年に東京・赤坂のミッドタウンで開催された「MAKEHOUSE-木造の新しい原型展」に遡る。「木材のパーツ化で住宅を考える」というテーマで、若手の建築家7組にアイデアを求めたこの展覧会で谷尻さんは、「高床の低い家」という提案をした。それに幸和ハウジングが共感し、実際の住宅プロジェクトに至った。 独立前に分譲住宅を数多く設計した経験を持つ彼は、幸和ハウジングから「分譲住宅の新しいモデルをつくる」という依頼を受けたときに、特殊解としての注文住宅と、一般解としての分譲住宅の間をつなぐようなモデルをつくろうと考えた。そしてその両者の相違をコストから考察すべく、自分たちが設計してきた住宅の見積を見直し、分譲住宅と比較すると、基礎と建具のコストに明らかな違いが見出された。空間デザインの質に大きな影響を与える開口部と、その架構を支える基礎には、特に費用がかかっていたのである。そこで谷尻さんは、建物の接地面積を減らし、基礎のコストの減額を検討し始めた。 礎石に始まる独立基礎は、木造建築のもっとも古くかつ簡便でローコストな基礎の形式だが、相互連結されていないために耐震性能は劣る。彼らはそれをSE構法の技術でカバーしつつ基礎のコストの低廉化を目指し、高床という架構形式の採用に至っている。 床を接地させない高床は、敷地に勾配があっても成立するので、造成コストも削減可能である。別荘地などで地面を大きく掘削しなくてもすむ。また、高床の住宅が群として建ち並んだ姿も魅力的な光景になるに違いない。

 

架構図:基本モジュールは910mmで、寝室は幅2,730mm、LDKは幅3,640mmに納め、LDKが最大スパンなので梁成は最大で300mm。耐力壁は階段周辺に集中させている

交換できる柱

この建物では、LDK棟のピロティや開口部にブレースや耐力壁を入れずに架構を組み上げている。水平力は寝室棟側で担保しているが、ロの字形平面ゆえに両端部、つまり1 ~4、13 ~15通りでしかつながっておらず、しかもスキップフロアなので同一の水平構面も持たない。軸組が全体で高強度を保持できなければ力の伝達がうまくなされない架構であり、SE構法の性能がよく発揮された建物である。 ピロティの柱は意匠上被覆せず現しにしている。そのため耐候性などを考慮して軸部を交換できるディテールが採用された。

 

南側全景。ピロティで持ち上げられた部分がLDK、その奥に中庭を介して寝室が位置する。外壁は成形セメント板(ケイミュー SOLIDO typeM)。

ピロティ部分を見る。高さは1,400mm、ピッチは910mm。柱の基部と上部に金物を差し入れ、軸部を交換できるディテールになっている。

 

 

1階寝室を見る。幅は2,730mm、天井高はLDKと同じ2,100mm。仕上げもLDKと同じである。

左:2階寝室を見る。南側にはテラスを設けて、中庭からつながる奥の庭のような空間になっている。 右:テラスから寝室方向を見る。左下にはLDKが望める。空間が分節されつつ連続していく。

 

 


下石田の家
設計・監理:サポーズデザインオフィス株式会社
施工:幸和ハウジング株式会社


写真:シュンタロウ(bird and insect) 文:橋本 純