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耐震構法SE構法について
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導入事例
2021.08.04

SE構法導入企業インタビュー vol.3

有限会社たけひろ建築工房 代表 山田雄大 氏

「どうしても登録店になりたい」

「住まいによって人は幸せにも、不幸にもなる」。これは、私が7年間、ハウスメーカーで勤務して得た実感です。当初は現場監督として入社しました。100件近く担当してくると、本当にいろんなお客様と出会います。二世帯住宅のはずだったのに、点検にうかがうと子世帯しか住んでいない。奥様も3人の息子さんもいるはずなのに、ご主人しか住んでいない。お子さんを授かって幸せなはずなのに、家の中が荒れていて散らかり放題、というお宅もありました。でも、たいていそうした家は、施工中から「この間取り、ご家族にあっていないのではないか」と感じていたものでした。
思い立った私は、希望して営業職に異動となり、そこから懸命にお客様のヒアリングに注力し、どんな空間、間取りならお客様の暮らしにフィットするかを考え抜き、住んだ後に満足いただけるようなプランをご提案していきました。幸い、多くのお客様に共感いただくことができ、一時期は全国6位の営業成績を達成することができました。
ただ、考えれば考えるほど、その会社が採用していた木造構法では限界を感じることが増えてきて、ここの壁や柱さえなければ、もっと自由な動線、空間が実現できるのに、と悔しく思うこともありました。そんなときにSE構法を知ったのです。
SE構法なら立体的な大空間、開放的な大きな窓もつくりやすい。お客様のライフスタイルに合わせて間取りを提案できる。お客様にもっと幸せになってもらえるのではないか。ちょうど画一的な顧客対応や標準仕様のみを優先する、会社の方針にも嫌気がさしていたところでした。自分の求める家づくりを実践するため、私は会社を辞め、2004年にたけひろ建築工房を設立。営業力には自信がありましたから、知り合いの大工や業者に声をかけて施工チームを確保し、会社としての体裁も整えることに。
ただし、大きな問題がありました。当時のSE構法は登録店になるための条件が厳しく、できたばかりで実績に乏しい当社では申請を受け付けてもらえないかもしれないと聞いたのです。せっかく自由度の高い家づくりを志して独立したのに、SE構法が使えないのでは意味がありません。私は、各種資料をそろえ、登録できたらどんな家づくりがしたいか、どのような提案でSE構法を生かすか、思いのたけをまとめ、エヌシーエヌの担当者に向けて約2時間にわたってプレゼンしました。
「どうしても登録店になりたい」。そんな熱意が伝わったのか、晴れて申請が受理され、登録店の一員となることができました。あのときの安堵の気持ちは今でも忘れられません。

「可変性を確保しないと家の寿命は短い」

設立2年目、二世帯同居の自邸を建築しました。この経験も大きかった。前職では7年間の間、受注に至らなかったお客様も含め、何100件という家づくりのご相談に関わってきました。すっかりわかっていたつもりでしたが、いざ、自分が建て主となるとまた違うものですね。
子どもが成長したらどうしよう。親がもっと年老いたらどうしよう。本当にいろんなことを考えて、少しでも後悔したくないものなんですね。 結局、各階ともワンフロア・ワンルーム。将来、どうにでもできるように間仕切りは最小限にしました。しかしそのときは木造軸組工法だったので、一部の間仕切り壁には柱や耐力壁を入れざるを得ませんでした。
「家は3回建てて満足する」というフレーズがありますよね。あれはそれだけ人のライフスタイルや価値観が変化していくということだと思うんです。子どもが成長したり、親と同居したり、自分自身が年老いたり。そういう転機が最低でも3回はあるよということではないかと。そうならば、家もそのたびに間取りを変更したり、増改築したり、次のステージに合わせた舞台に変えていかないといけない。
家の寿命って、ただ耐久性や耐震性だけで決まるものではありません。家族のそのときどきの状態に対応できないと、心地よい住環境で居続けることができない。そのとき、家は建て替えられたりして寿命が尽きてしまうのだと思います。 間取りを決めかねる顧客心理に共感したと同時に、本当に長く住まえる住宅はスケルトン・インフィルであるべき、そうしないと間取りの可変性が確保できない。その必要性を強く感じました。

 

「インフィルボックス」のモデルハウスを前面に押し出した長久手店。アメリカンガレージ風の建物は事務所。

モデルハウスでは、愛車を実際に室内に入れた撮影会が人気。土間リビングの魅力、活用法を発信している。


「一般的なFCのような縛りがないのがいい」

自邸の建築を通してSE構法の必要性を実感することができたものの、なかなか受注には結びつきませんでした。最初、提案していても予算調整の段階で削られてしまう。どうしたものかと思案しているとき、エヌシーエヌの勉強会でSE構法の構造計算の緻密さについて知りました。私が認識していた在来工法でよく行われる構造計算とは信頼性がまったく違います。
そんな折、新潟県中越沖地震が発生。その3年前の中越地震では耐えた建物も軒並み被害を受けていました。報道で被災状況を目の当たりにして地震の恐ろしさをあらためて実感。また、お客様の生命と資産をお預かりする住宅事業の責任の重さについても、深く心に刻まれました。「もう、うちではSE構法しか受注しない」。お客様には、より安全性に信頼のおける構法をお勧めしなくてはならない。そう決断したのです。
その年は、これまで在来工法で受注できていた分をカバーすることはできず、右肩上がりだった年商もダウンすることに…。ただ、これはある程度、予想していたことでもあり、私はがっかりしませんでした。
その反面、いいこともありました。現場が減ったことで社員が落ち着いて業務に向き合うことができるようになり、接客もよりきめの細かいものになったのです。値引きもほぼなくなり、受注単価が向上。利益が確保しやすくなりました。
そして、粘り強く取り組むうちに、お客様のほうからSE構法を求めて問い合わせが寄せられるようになりました。自分の目でしっかりいくつもの住宅会社やビルダーを検討して、当社に関心をもってくださるようなお客様です。性能やライフスタイルに対しての意識が高く、求めるクオリティが非常に高い。そんな顧客層になっていきました。「ああ、わかってもらえるようになってきたんだ」。そう思えて、本当に嬉しかったですね。
SE構法を当社のセールスポイントとして、もっと活かしていきたい。そう考え、当社独自の提案として打ち出すようになったのが、ガレージハウスです。駐車スペースを生活空間に取り込む提案は、車やバイクを愛する、多くのお客様に喜んでいただけています。開口部を広く取り、車を置けるような室内の大空間はSE構法ならではのもの。
さらに一般向けには「インフィルボックス」という商品を用意しました。これは自邸の建築で確信したスケルトン・インフィルの必要性をカタチにしたものです。柱や間仕切りは最小限とした総2階の箱型の規格住宅です。ワンフロア・ワンルームを標準とし、1階は内外の段差を小さくして、ほぼフラットな仕上がりに。内装や設備は自由にカスタマイズできるので、住宅はもちろん、スタジオやアトリエ、店舗などへの応用も可能です。SE構法でしか実現できない自社オリジナル商品となりました。
この商品化を機に、2012年には岐阜県可児市、2018年には愛知県長久手市にモデルハウスと事務所をオープン。創業以来、実績を積み重ねている可児市に対して、長久手には、ガレージハウスや「インフィルボックス」のような新しいコンセプトの住宅を柔軟に面白がっていただける層のお客様がいる、とリサーチの結果、見込んだのです。
家族との生活を営みつつ、趣味を楽しみ、仕事に没頭する。「インフィルボックス」には、人それぞれの自由な人生の選択肢を盛り込むことができます。もちろん生涯にわたる安全性、耐久性、耐震性も大前提。お客様の人生をより豊かなものにできる住まいをようやく実現できるようになった。SE構法を通してそんな手応えを得られるようになりました。現在は、月1棟のペースでじっくりとそれぞれの拠点での実績を積み重ねているところですが、スタッフの育成が追い付いたら、さらに他のエリアにも支店を設けて多店舗展開していきたいと考えています。
私たちがここまで自由に家づくりに取り組めているのは、エヌシーエヌが一般的なフランチャイズ(FC)のように様々な条件を課してこないから。あくまでも構法を提供しているだけで、構造計算のほか、補助金の情報や勉強会などの営業支援に特化しているので、こちらとしても実にやりやすい。もちろん、戦略面で迷ったときなどは相談にも乗ってくれますしね。
当社のような中小規模のビルダーが単独で活動するのは、とてもしんどい時代です。でも、構法とともにそうしたサポートを受けられるというのは、実に頼もしい。登録店ならではのメリットとして活用させてもらっています。

取材:2021年6月17日 文:渡辺圭彦

 


有限会社たけひろ建築工房
代表:山田雄大
設立:2004年2月
住所:[可児店] 岐阜県可児市土田5226-1 [長久手店] 愛知県長久手市市が洞1-108

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