• HOME
  • 導入事例
  • SE構法導入企業インタビュー vol.2
耐震構法SE構法について
導入をお考えの皆様
導入事例
2021.06.30

SE構法導入企業インタビュー vol.2

株式会社オーワークス 代表 折田清一 氏

「あわや失注のピンチを救ってくれた」

「おい、嘘だろ!」 普段、めったに声を荒げることのない私が思わず大声を出してしまったのは、計画中のA邸の地盤調査の結果を耳にしたときでした。想定以上に軟弱な地盤であることが判明したのです。A邸は1階に車庫と倉庫、2階にAさんが経営する会社の事務所、3階がAさんの自邸という構成。1階の車庫、倉庫を自由に使えるよう、間仕切りの少ない空間にするため、鉄骨造で考えていたのですが…。こんな軟弱地盤では相当深いところまで杭を打ち込まなければならないはず。 慌てて基礎や杭打ちの見積もりを見直したのですが、どうしても当初の予算を大幅にオーバーしてしまいます。これでは全体の建築計画にも大きな影響が及ぶことに…。何よりも、お施主様の信頼を裏切ってしまう…。そんなことはどうしても避けたい…。 そこで思い出したのがSE構法でした。数年前に興味をもって資料請求していたのですが、「いまはとくに必要ないしな」と思って登録は見送っていたのでした。 すがるような思いで問い合わせてみると、当時の担当者がいろいろと手を尽くして対策を練ってくれて、当初の設計内容をほぼ生かした形で建てられるということに。木造ですから鉄骨造よりも躯体の荷重が軽くなり、杭打ちではなく、柱状改良で済むとのこと。基礎工事も含めて大幅なコストダウンが可能になりました。これなら予算に納まります。 失注しないですむのなら、信頼を損なわずにすむのなら、この1軒のためだけでも登録料を支払う価値はある。そう判断したのが、SE構法導入のきっかけでした。

 

鉄骨造での設計内容をほぼ生かした形で施工。

1階には車庫、倉庫のためのフリーな空間を確保。


「ウェブ経由で新規顧客の開拓」

2008年、SE構法を導入することによってA邸は無事に完成。2階の36畳もの事務室も柱のない大空間となり、2階の跳ね出しのテラスもしっかりと安定した仕上がりに。おかげでお客様にも喜んでいただくことができました。 当社は、専用住宅のほか、店舗併用住宅、賃貸住宅など地域のニーズに幅広く応えています。受注の半分くらいは、木造だけでなくRC造や鉄骨造。それらの案件でA邸のようにSE構法で建てることができれば、コスト面の調整もかなり楽になるのでは。そういう期待もありました。 しかし、そこまで思うようにはいきません。その後、SE構法の採用事例は年に1棟あればいいほう。登録以来、4年ほど宝の持ち腐れともいうべき状態が続きました。 流れが変わったのは2012年ごろにおこなった自社ウェブサイトのリニューアルです。ある大きなイベントに参加するにあたって、自己紹介程度だったサイトをもっと内容を充実させて、やりたいこと、得意なことをアピールしようとしたのです。当時のNCNの担当者の方にも相談して、事例写真も多く載せ、「木造でも大空間やスキップフロアなど変化に富んだ空間ができる」という発信を心がけました。 その結果、じょじょにウェブ経由の問い合わせが増えていきました。それまでは受注の大半が紹介ルート、もしくはOBのお客様からのリピートでしたが、現在は受注の半数弱がウェブ経由です。 同時にSE構法に関心を持ったお客様も増えました。SE構法の安心感や自由度を求めてこられるので、在来工法と価格の比較をすることもありません。むしろRC造や鉄骨造のイメージで来られるので、「意外に安い」と感じられるようです。ウェブを通じて前もって勉強されているので、面談もスムーズに進むようになりました。新規顧客の開拓につながったのは、ありがたい限りです。

「可変性の高い建物に価値がある」

現在は、規模の大小、様々な構造を含めて、新築は年間10軒ほど。そのうち半分くらいでSE構法を採用しています。前述したように当社では在来木造、鉄骨造、RC造、それぞれに対応しており、在来木造でももともと全棟構造計算して建てていました。ですから、SE構法の強度や信頼性については高く評価しています。 専用住宅のプラン提案では、SE構法が前提。私たちの地元となる城南エリアでは間口の狭い敷地も多いのですが、そうした場合でも、無理なく3階建てが計画できますし、当社の得意とする立体的な空間構成が実現しやすいからです。 SE構法採用時には、設計の初期段階からNCNに問い合わせて構造の組み方について相談します。もともと当社のルーツは左官業で私も現場の経験があります。ディテールの納め方については大工を始め、各職種の業者とあらかじめ相談して設計に反映させています。「こういう空間をつくりたいんだけど、どう思う?」と。構造についても同じ感覚ですね。 もちろん在来工法を否定するわけではないんです。ただ、SE構法は構造としての信頼度があるし、設計の自由度が高いのでお施主様の要望も満たすことが容易。骨組みがしっかりしているけれども、耐力壁や柱、梁に空間が妨げられることが少ないので、将来、住まい手の状況が変わったときにリフォームもしやすい。次の世代に渡すことを考えると、可変性が高い構造のほうが、価値の高い建物になるんじゃないかと思います。 ただ、在来工法とはまた違う面も多々あるので、導入当初は気を使いました。例えば、大工や基礎の施工会社だけでなく、設備工事の業者に対しても声をかけて、SE構法についての勉強会の場を設けました。壁や柱を最小限に抑えられる代わりに、すべてが構造上、重要。在来工法と同じ感覚でスリーブ穴などを気軽に空けてもらっては困るわけですから。幸い、みんなすぐ慣れてもらえましたが。 当社の社名「オーワークス(O-WORKS)」の「O」は人の輪を意味しています。お施主様、設計者、現場監督、職人、関連業者などそれぞれが輪のようにつながることで、品質の高い仕事ができると考えています。構造についてもNCNにその輪に入ってもらったかなという気がします。

「ルールが明確なので新人教育にも最適」

SE構法の登録店となって10年以上が経過しました。この10年は省エネや耐震など住宅の性能向上が国を挙げて図られるようになり、新たな基準ができたり、各種の補助金の申請手続きなども多岐にわたるようになりました。NCNでは登録店に対して、そうしたニュースについて逐一発信してくれて、勉強会などの機会も折に触れて設けてくれるので、ありがたいですね。一社単独ではなかなかそこまで手が回らなかったかもしれません。 そんなこともあり、2020年には、あらためて当社の姿勢や仕事の進め方を見直し、「オーワークススタンダード」ともいうべき指針をまとめるプロジェクトに着手しました。ここのところ、建築業への入職者が少ないとか、職人や現場監督の人手不足、高齢化などの現実に直面する機会が増え、当社としても真剣に事業継続のための仕組みを整える必要がある、と考えたのです。 その一環として、業界未経験者を採用することを始めました。これまでは資格のある経験者を中途採用の対象としてきたのですが、そんなに都合のいい「即戦力」なんていないということに気づいたのです(苦笑)。 そうした新人の教育にSE構法の現場というのはちょうどいいですね。マニュアルがしっかりしていてルールが明確。現場での約束事や注意点を身に着けてもらいやすい。新人育成の手段としてもSE構法を利用させてもらっています。

取材:2021年5月18日 文:渡辺圭彦

 


株式会社オーワークス
代表:折田清一
創業:大正元年 折田左官工業として創業
住所:東京都目黒区碑文谷6-4-7
http://www.o-works.com