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導入事例
2022.01.31

SE構法導入企業インタビュー vol.6

株式会社marukan 代表 西山智也 氏

「これなら、うちの賃貸アパートの品質が守れる」

「すっげえ性能だな。これで木造なの?」。SE構法のセミナーに足を運んだときの率直な感想です。もともと私は現場監督出身で、RC造のマンション建設に数多く携わってきました。その私の目から見ても、RC造並みの施工精度が期待できる木造建築というものは本当に驚異的に感じました。また同時に、ものづくりに関わる者として「これ、どんな建物ができるんだろう」と胸がワクワクしました。
当社の創立は2007年。もともと親会社の建てたマンションの管理、修繕等が主な業務でしたが、2014年に管理業務を委譲し、建設業に移行。そのとき、「丸山建物管理」から「marukan」へと社名変更しました。親会社ではRC造をメインにしていましたから、当社ではかぶらないように木造を扱うことに。受注する案件の9割以上が木造の賃貸アパートです。
最初、あらためて在来木造を扱ってみて、その「緩さ」にびっくりしました。現場の職人、監督任せの部分が大きく、RC造の施工精度などとはとても比較になりません。それがどうにも気になってしまったので、自分なりに施工について自主基準や現場マニュアルを作成しました。ばらつきのない明確な基準を設けるというのが目的です。ただその一方で、自分の技術・仕事を表に出したがらない職人、旧来の仕事のやり方にこだわる監督などもいました。紆余曲折を経て今の施工体制があります。
当社では、工種・工程ごとに具体的なチェックポイントがあり、大工だけでも竣工までに223項目を確認していくことになっています。まず施工した当人が該当箇所を動画で撮影し、次に現場監督がチェックして同様に動画で記録した後、品質管理の担当者による検査の3段階です。特に基礎、金物、防水、断熱など、あとで見えなくなる7工程については1検査当り3時間から4時間の全数検査を動画に残して、間違いない施工をした証明を残すようにしています。
その分、他社より施工期間は1、2か月ほど長くなるのですが、「その代わり、しっかりと建てています」ということでオーナー様にはご了解いただいています。
なぜ私がそんなに精度にこだわるのか。それは、私たちがお付き合いしているのは、地域に根を張って100年単位で賃貸経営を目指すオーナーさんたちだからです。建てて終わりではなく、長くお付き合いして、オーナーさんの土地と建物という資産を守るお手伝いをする。それが私たちの仕事です。
オーナーさんは私たちを信頼して、貴重な土地と資金を預けてくださっています。ですからきちんと基準を明確にして正しい手順で施工していることを示して、安心していただきたいのです。その点、SE構法は品質にばらつきが出ないようにしっかりとしたマニュアルが用意されているので「これなら、うちの賃貸アパートの品質が守れる」と思えました。2020年に登録したばかりですが、いまいろんな活用法を検討しているところです。


「私たちの仕事はまちづくりの第一歩」

賃貸経営を末長く継続するためには、地域に密着して、近隣の方々に受け入れていただくことが必要です。そのために当社では、まずその日に作業する職人が、敷地周辺の道路を清掃して、近隣の方々にご挨拶することにしています。最初は無視されていても、3か月くらいからは笑顔を返してもらえるようになります。

 

職人が毎朝、工事内容をボードに記入、近隣の方々とのコミュニケーションを大事にしています。

現場に張るシートには、常用の大工と専門職の職方の写真をプリント。「顔の見える」現場を目指しています。

 

現場には職人を紹介するパネルを掲示したり、現場シートには職人の顔写真を入れたりして、「顔の見える」存在になるように心がけています。近隣の方々の不安を解消すると同時に、職人たちにも「見られる」ことを意識してもらうためです。責任感やモチベーションを高めることで、より自律的に施工品質を守るようになるはず。
いま建てている物件がきちんと完成して、地域に愛される建物になれば、きっといい雰囲気が醸成されますし、そんな環境なら居住者の方も長く住んでくださる。そういういい循環を生み出すように思うのです。だから、現場のみんなには「まちづくりの第一歩」としての役割を説明して、プライドをもって仕事に取り組んでもらうように働きかけています。職人がモノづくりを通して直接お客様から応援や感謝の言葉をいただく努力をして、「見えない報酬」も手に入れられるようになると、建物の品質と地域の価値がともに向上していく。そう考えています。
実は、かつての私はそんなことは思いもしませんでした。余計な邪魔にならないよう、近隣住民はシャットダウンして、とっとと施工を進めてしまおう。そんな姿勢でした。でも、耐震偽装などで建築業界の信用がガタ落ちしてからは、オーナーだけでなく、近隣の方々にも「うちはちゃんとやっている」ということをしっかり発信して、ご理解いただかくてはいけないと考えるようになりました。
最近では工事も終盤になると近隣の方から「でき上りが楽しみだね」とか「これまで掃除してくれてありがとう」といったお声をかけていただけるようになりました。ありがたいことです。
竣工したら、ご近所の20~30軒に案内を出して完成見学会を行うようにしています。室内の仕上がりを見ていただくのとともに、アパートからご自分の家がどう見えるか、確認していただくのです。その際、お子様対象の木工教室などのワークショップなどを実施することもあります。marukanでは地域に対してこうした働きかけもしてくれる、ということを皆さんに見ていただいて、「地域といい関係を築ける工務店」であることをアピールするのが目的です。


「可変性が新たな価値を生む」

賃貸オーナー様の場合、戸建てと違って「建物をつくる」ということが目的ではありません。アパート建築はあくまでも土地活用の手段。長期にわたって賃貸運営できる、しっかりとした建物をつくって、入居者に長く住んでもらい、雰囲気のいい住環境に育てていくことが大事。これから人口が減る中でも人が住みたくなる建物をつくって、オーナー様や近隣の方々と一緒に住みやすい地域コミュニティをつくっていく。そうすれば、結果的に賃貸としての利回りも有利なものにできるはずです。
これから当社で期待しているのは「aruka」という女性のチームがプロデュースする賃貸シリーズです。企画のコンセプトづくりから社内の5人の女性が主導して湘南の地ならではの暮らし、住空間を提案し、仕様やデザインを決めていきます。これまでに50棟ほどの賃貸物件をプロデュースしてきましたが、最近では仲介業者さんのほうにも「aruka」を指定して空き室を問い合わせてくる例も増えてきて、手ごたえを感じています。
SE構法はまず、この「aruka」で活用できたらと考えています。たとえば3階建ての賃貸物件などには耐震性の面で最適だと思います。またSE構法は可変性にもすぐれているので、当初は「2戸の3階建て」にしておいて、将来は間取りを変えて「ファミリー向けの1戸の3階建て」にする、という提案も可能ではないか。そういった相談もエヌ・シー・エヌとしています。
普通の木造の建物は20年で価値を失ってしまう。でもSE構法の建物なら、建物そのものの耐久性が高いし、可変性によって使い方を変えて新たな価値を生むこともできる。何十年も資産価値を保ち続けられるSE構法の建物は、土地活用に悩むオーナー様に対して、非常に有効な提案になるんじゃないかと期待しています。4階建ての木造アパートなどもいずれ手がけてみたいですね。きっと湘南という土地柄にはマッチするはずです。

取材:2021年12月21日 文:渡辺圭彦

 


株式会社marukan
代表:西山智也
設立:2007年(株)丸山建物管理設立
2014年(株)marukanへ社名変更
住所:神奈川県平塚市河内370
https://marukan-life.jp