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耐震構法SE構法について
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導入事例
2021.12.13

SE構法導入企業インタビュー vol.5

株式会社滝石建設 代表 滝石喜彦 氏

「見積もりとプランを提示したら、負けません」

最近、やっとSE構法がわかってきた。そんな気がするんです。お客様との打ち合わせを終えて、いざプランをまとめようとすると、いつの間にか、SE構法ならではの見せ場を取り込んだ図面を描いている。登録店となって約10年、来る日も来る日もSE構法の家と向き合ってきたから、もう私の体に染みついてきたのかもしれませんね。

吹き抜けがなくてもスキップフロアがなくても全面開口がなくても、SE構法のよさを生かした、気持ちのいい空間は必ずつくることができる。そう考えています。
そういう図面はお客様にも伝わるんでしょうね。ここ1年は見積もりとプランを提示したらまず負けることがありません。他社との競合のために見積もりを急かされたり、あまりにも仕事が集中してしまったり、という場合には「いまはちょっと手が空きませんので」とお断りすることも何度かありました。無理して受注を取りに行こうとすると、いまお引き受けしているお客様のほうに迷惑がかかってしまうことにもなりかねない。それは絶対に避けたいと思っています。

当社は住宅事業部6人、不動産事業部4人という規模の小さな会社です。住宅の設計はすべて私が手がけています。2020年は16棟受注し、そのうちSE構法は6棟でした。コロナ禍に加え、ウッドショックなどもあり、かなり利益を削られてしまいましたが、それでも会社としては過去最高レベルの実績を上げることができました。これもここまでコツコツSE構法に取り組んできて高知県内でも認知度が高まってきたことと、私も含め社員が成長してきたこと、この2つがうまく相乗効果を挙げたおかげだと感じています。

「1点ものの家づくりに原点回帰」

当社は創業65年。先代社長であった父が病気に倒れ、私がゼネコンから戻って後を継いでから36年になります。当初は地場の建設会社として主に箱物を手がけていましたが、県の公共工事の引き締めを機に住宅事業に転換。初めはいろんな工法にチャレンジして試行錯誤しましたが、2012年にSE構法登録店となりました。
やはりお客様の一生住む家を建てるわけですから。SE構法のように、仕組みも論理的でしっかりしている。性能面でもきちんとした裏付けがある。こういう家なら自信をもってお客様にお勧めできる。そう思ったんです。

当社では、” 作品”ではなく、あくまでもお客様のための家をつくりたい。大手のような” 商品”でもない。お客様に喜んでいただいて、私たちも胸を張って誇れるような住宅を建てたい。そう思って、SE構法の仕様を前提としてプランを提案していきました。
ただ、現在のようないい流れになる前、4~5年ほどは思うように受注がとれず、「もうリタイアしてしまおうか」と思い悩む時期もありました。いま振り返ってみれば、私も社員もSE構法のよさをよく理解していなかったのかもしれません。プラン作成と施工管理に追われるあまり、新規客獲得のための営業活動にまでは手が回ってなく、設計事務所からの受注でなんとかしのいでいましたね。

自分自身でも迷いが生じていて、セミナーや勉強会などにも多々、足を運びました。ひとつ、きっかけとなったのは、モデルハウスのリニューアルです。「今度はどういう建物にしようか」。思いを巡らせるうちに夢中になって図面に向かっていました。
もともと私はゼネコン出身。プロジェクトごとの一品生産が当たり前の世界で育ってきました。住宅業界のように規格商品を大量生産するようなことはなく、現場ごとにイチから納まりを考えてきました。
原点回帰。営業ツール等を駆使して効率よく受注しようとか、標準化して生産性を高めようというのも大事なことかもしれないけれど、いま一度、ものをつくるということに対してひたむきに取り組んでみようと決めました。

「寄り添う姿勢の大切さを知りました」

ちょうどそのころから、中途採用した社員たちが徐々に戦力になり始めました。いずれも他業界出身なので基本的な知識を覚えるまでには時間がかかる。でも、私の目から見て「お客様に寄り添う」という姿勢を持っていたんです。いまでも日常の業務を通じて、どうしても建物、性能のほうに目が向きがちな私に、「寄りそう姿勢」の大切さを教えてくれています。

いま目の前にいるお客様のために「1点もの」の建物をつくる。自分たちの持っている知識とノウハウをフル活用して、誠実に提案して、誠実に建てる。そんなことを繰り返しているうちに、今ではお客様のほうから「SE構法の家が欲しいから滝石さんに頼みたい」と声をかけてくださるようになりました。


出典:ハザードマップポータルサイト 高知県高知市周辺 津波浸水想定

今、南海トラフ関連の報道を通じて危機感を持ったお客様が確かな耐震性能を求めてやってきます。県内の住宅業界全体から見たらマニアックな少数の層かもしれませんが、当社が大事にしている基本性能を評価してくれるのは本当にありがたい。残念ながら予算の関係でどうしても在来工法になるケースもあります。そういう場合でも必ず許容応力度計算による構造設計はおこなうようにしています。しかし、「SE構法でなくてもいいから安いほうがいい」というお客様はひとりもいません。しっかり信頼いただける建物を提供しなくては、と使命感を新たにしているところです。

今の課題は、現在63歳である私の引退後のこと。お客様がこれからも安心して住み続けられるように、この会社を今後も継承していける体制を整えていかなければなりません。それまではリタイアしない、当社を信頼してくださったお客様への責任を果たすまでは逃げない、と腹をくくりました。家づくりと並行して人材育成と組織の整備に取り組んでいくつもりです。

目下の夢は、賃貸住宅で1階に車庫のあるガレージハウスを提案すること。高知近辺は車社会ですし、車好きのユーザーも多いですからニーズはあると思うのですが、いかんせん前例がありませんからね。新築事業を任せられるスタッフが育てば、実現に向けて取り組んでみたい。また力が湧いてきそうな気がします。

取材:2021年11月19日 文:渡辺圭彦

 


株式会社滝石建設
代表:滝石 喜彦
設立:1978年
住所:高知県高知市仲田町14番8号
http://takiishi.co.jp